ルイヴィトンタイガカードケース
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null わたしの絵はよく売れているみたいで、画家はとても忙しそうだった。 「明日か明後日《あさつて》、学校が終わってからでも来てくれると助かるんだけど……」  画家がわたしに、そう頼むことも少なくなかった。  ママはもちろん、わたしがモデルをする回数が増えることに大賛成だった。夏休みには、わたしはほとんど毎日のようにモデルの仕事をすることになっていた(画家は週に1度はみんなには内緒で遊びに行こうと提案してくれた)。  そんなある日、ママのところに芸能プロダクションの社長から、大切な相談があるのでぜひ会って話をしたいという電話が入った。 「わざわざ会いたいだなんて、いったい何の話かしら?」  電話を切ったあとで、ママは目を輝かせてわたしを見つめた。「もしかしたら、映画の主演とか、テレビドラマの主役とか、そういうすごい話かもしれないわよ」  だけど、わたしは、あまり期待しないようにした。期待はいつだって裏切られるものだから。  それに、もし、そういう話だったら、わたしも一緒に呼ばれるはずだった。  その日、ママはわざわざ仕事を休み、美容室に行って髪を整えてもらい、お化粧をしてもらい、イミテーションのアクセサリーをたっぷりと身につけてプロダクションの事務所に出かけて行った。 「今夜は遅くなるかもしれないわ」  ママはそう言っていた。だけど、1時間もしないうちに戻って来た。 「何の話だったの?」  ママがまだハイヒールを脱ぎ終わらないうちに、わたしは訊《き》いた。 「うん。それがね……」  ママは少し困ったような顔をしていた。それでわたしは、プロダクションの社長の話が、そんなにいいものではなかったのだとわかった。 「どうしたの? 何を言われたの?」  ドキドキした。もしかしたら、わたしには芸能人になれる可能性はないから、もうプロダクションを辞めるように言われたのかもしれないと思った。